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格安相場に騙されない、インプラントの適正費用とは

2022.05.17

格安インプラントに潜む危険性

インプラント治療が高額である一番の理由は単純に、「コストがかかる」とういうことです。
これから、コストがかかる理由とコストカットのリスクについて述べていきたいと思います。

コストのかかる理由1.

インプラント治療は“体内にインプラントを埋め込む”とういう、他の歯科治療とは全く異なるタイプの治療で、外科手術をともないます。

そのため、清潔な環境下で行い、できる限り感染を予防することが最も重要なポイントとなります。

かつてレーシック(視力矯正)手術で、感染対策を怠ったクリニックで集団感染が起きた事件がありました。
手術現場での感染予防をないがしろにすると、インプラント手術でもこのようなことが起こりかねません。
そのため針、メス、手袋はもちろんのこと、その他、バキュームや患者様に被せる布なども使い捨ての物にし、感染リスクを減らします。
また、手術室の環境を整えるための設備投資にもコストがかかります。
手術室を個室にしたり、空調を整え、他の治療からの飛沫感染のリスクを低減させる必要があるからです。

格安インプラントを謳っている歯科医院では、このような感染予防に対する設備投資に関してコストカットを行っている可能性が高く、インプラント手術後の感染は、インプラントと骨との結合を阻害するだけでなく、炎症が顎の骨や副鼻腔などにも波及する恐れがあり大変危険です。

滅菌・予防環境への配慮を行っている歯科医院を選びましょう。

コストがかかる理由2.

インプラントは車と同様、軽自動車のようなものから高級車まで国内外の様々メーカーがあります。

なぜ高額なインプラントを販売するメーカーがあるかというと、そのメーカーでは日々製品開発を行い、患者様にとってより良く生体親和性の高い(生体と馴染みが良い)インプラントやその他パーツの研究や歯科医師への教育・啓蒙活動を行っているため、販売価格が高くなってしまう傾向があります。

しかしこれは、裏を返せば、医療の進歩と真摯に向き合い、患者様利益に貢献している優良企業とも言えます。
そのようなメーカーは継続してアフターケアを行いやすく、長く生体内で機能するインプラントに、万が一のトラブルがあっても多くの解決策を持っています。逆に、インプラント自体が安価なメーカーは、製品の発展が望めないだけではなく、トラブル時の対応や数年先にそのメーカーが存在しているのかさえ疑問です。
口の中という生体で長く機能して欲しいからこそ、安心・信頼できるメーカーを使用している歯科医院を選ぶ必要があります。

格安インプラントを行っている歯科医院では、この部分でもコストカットをしている可能性が高いです。
時に近年、実績の少ない安価なインプラントが非常に多く出回っており、日本では許可が下りていない製品を歯科医師が直接個人輸入し使用しているケースもあるようです。

自分の体の中に埋め込み、長く使うものだからこそ、信頼のある製品を使用している歯科医院を選びましょう。

コストがかかる理由3.

インプラントの上部構造(歯の部分)の素材選びによっても値段が大きく左右します。

一般的に、インプラントの上部構造にはセラミック素材を用い、近年ではジルコニアという高強度セラミックが主流となってきています。

しかし、この材料を扱う技工所も非常に多額な設備投資をしているため、技工料も高額となってきます。
前歯など、審美的に重要となる部位ではさらにそこから職人の手でセラミックを盛り足し、自然にみせる必要があり、技術料も増大します。また、インプラントの本数が多い場合も非常に高い技術とたくさんの専用パーツが必要となり費用が高額になってしまいます。

格安インプラント治療では、このような上部構造の素材やパーツをできるだけ安価な素材にすることで、価格を抑えています。

十分な耐久性が求められる歯に対し、安易に安い素材やパーツを使用することは、後々歯が欠けたり、パーツの損傷が起きたりとかえって修理費がかかることもあります。最悪の場合、上部構造の作り直しなどで費用が余計にかかることも考えられます。

そのようなトラブルが起きたとき、インプラントメーカーが既に存在していなければ、インプラントの撤去という最悪なケースが起こりえます。

部位やインプラントの本数に応じて、しっかり最新の材料について説明を行い、選択肢を提示してくれる歯科医院を選びましょう。

適正価格の根拠とは

Point.1 きちんと滅菌・感染予防対策を行っている(配慮や設備投資など)

Point.2 信頼できるメーカーのインプラント製品を使用している

Point.3 インプラントの上部構造に適切かつ最新の素材を使用している

Point.4 インプラント治療に関しての最新の治療法の研鑽を日々行っている

上記のポイントを満たす歯科医院において、一番シンプルな奥歯一本のケースで、適正な価格は約35〜45万円くらいと言えます。そのうち1/2以上が所謂インプラントそのものや、パーツや上部構造の技工料の価格になり、残りが滅菌環境への設備投資と術者の技術料や医院の家賃・人件費などに充てられます。

価格に見合う診療の見極め方

Point.1 治療開始時の十分なインフォームドコンセント

インプラント治療にはメリットだけではなく、高額な治療費と長期にわたる治療期間、手術を伴う外科的侵襲という3つのデメリットがあります。それらをしっかりと納得がいくまで説明してくれる歯科医院を選びましょう。できれば、説明の内容にはプライベートな内容も多く含まれるので、カウンセリングルームや個室が準備されている環境が望ましいでしょう。

Point.2 インプラント治療を行う歯科医師の技量

インプラント治療の経験が豊富な医師を選ぶことに越したことはありません。更には、インプラント治療に関する研修の講師や執筆活動などの指導的立場にいる医師であることが望ましいです。歯科医師のプロフィールを確認することをお奨めします。

Point.3 術前ケアとアフターケアの充実度

国家資格を有する歯科衛生士が在籍している歯科医院かどうかしっかり確認しましょう。インプラント治療前にきちんと歯周病治療を行い、インプラント治療後も定期メンテナンスを行うことが、インプラント治療を長持ちさせる秘訣になります。これらをしっかり行える衛生士がおり、お口の悩みについて真摯に相談にのってくれる衛生士がいることは、インプラント治療を含め、お口の健康を守るためにとても重要なポイントになってきます。